児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

大千世界のなかまたち

 

大千世界のなかまたち

大千世界のなかまたち

 

子どもの頃から「人間ではない何かの生きもの」の存在を感じ、大人になっても親しくつき合っているというスズキコージ氏。それらを、特徴を捉えた愉快な命名と独特のタッチの絵で紹介する。
例えば、図書館の本の隙間に住んでいる「スキママン」。太ったスキママンがいると本が取り出しにくいという。(確かにいくら引っ張っても棚から取り出せないことがある。なるほどスキママンの仕業だったか。いえいえ、本当は本の詰め込みすぎ・・・ですが、そう考えるとおもしろい。)
鏡に映った自分の一部がちょっと違うことがあってよく見たら鏡の中に住む「カガミル」が完全にまねし切れていなかったんだとか。(鏡の中の自分をそんなによく観察したことなかったなあ。)
振り子時計のゼンマイが切れてしまい修理に出さねばと思っていたあるとき動き出し、よく見ると「フリコウ」がぶら下がって揺れていたとか。(これ!電化製品が故障して新しいのを買ってきたら古い方が一時的に動き出すことありませんか。我が家では、映らなくなったはずのブラウン管テレビが、薄型テレビが届いたとたんに復活して1年以上がんばって映っていたことがありました。)
この世界は人間のものだけではなく、たくさんの”なかまたち”がひしめき合って生きているのだと思うと、なんだか平和な気持ちになります。