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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

すみれちゃん

 

すみれちゃん

すみれちゃん

 

 幼稚園に通うすみれちゃんは、自分の名前がフローレンスじゃないことに絶望したり、もうすぐ生まれる赤ちゃんが弟と妹のどちらがいいか、そもそもお姉さんになりたくないなと思ったり、そんな気持ちをすぐ歌にしてしまう女の子です。
1つのエピソードごとの短い章立てとふんだんに入る可愛くしゃれた挿絵は、絵本から物語へすすむ低学年向けのつくりです。でも、すみれちゃんの気持ちや言動がどうしても大人から見た感じで、引っかかって仕方ありませんでした。また、肝心なところを語ってくれないことにも消化不良が残ります。例えば、うちに手伝いに来たおばあちゃんに赤ちゃんが生まれたら起こしてねとすみれちゃんは頼んで寝るのに、次の場面はもう新生児室で赤ちゃんを見ているところだったり、一緒に植物図鑑を見ながら赤ちゃんの名前を相談しようとお父さんは約束したのに、相談する場面はなく急に「かりん」と決まっていたり。
この年代の子どもには、やっぱりリンドグレーンのロッタちゃんとかクリアリーのラモーナ(シリーズは中高学年向きになってしまいますが)の方を、断然おすすめしたいです。    (は)