児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

「危険なジェーン」とよばれても

 

世界をみちびいた知られざる女性たち (2) 「危険なジェーン」とよばれても

世界をみちびいた知られざる女性たち (2) 「危険なジェーン」とよばれても

 

 1860年に生まれ、福祉と平和運動に生涯を捧げたが、戦後敵国の病院や子どもを援助したことで「うらぎりもの」扱いされFBIから「危険なジェーン」と目をつけられ非難される。だが、終始変わらず人を助ける仕事を続け、1931年71歳の時に、アメリカ人女性として初のノーベル平和賞を受賞する。この彼女の生涯を絵本形式として紹介しているため、やや駆け足ではあるが、トピックスは理解できるようになっている。とりわけ読んでいて驚いたのは、第一次世界大戦中に女性たちで反戦活動を国際的に行ったということだった。効果がどの程度あったかという程度のものだったとしても、戦争はいけない、やめよう、という意思をきちんと表明した実績を残した女性の集団がいたということ自体がとても貴重であると思った。本人も丈夫ではない体ながら、息長く活動を続けた生涯をもっと知りたいと感じさせてくれる。