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ナシの木とシラカバとメギの木

 

ナシの木とシラカバとメギの木 (大型絵本 (9))

ナシの木とシラカバとメギの木 (大型絵本 (9))

 

スイスの山の小さな家に4人の家族が住んでいました。お父さん、お母さんと2人の子どもです。家の両側には、年とったナシの木と大きいシラカバがあって、それぞれカラスとカササギが巣を作っていました。でも、シラカバの後ろにある低いメギの木は、トゲだらけで酸っぱい実しかつけないのでだれも寄りつきません。やがて、雪が深く積もる冬が訪れると、年とって枯れたナシの木はたきぎにされ、シラカバの枝は雪の重みで折れてしまいました。厳しい冬が去り、春。たくさんの鳥たちにまじってウグイスの夫婦がやってきて、メギのしげみに巣を作ります。メギのとげが小さな卵を守り、カラスやカササギ、ネコやキツネさえも手出しができません。ヒナがかえり、夏中を過ごしたウグイスたちは、シラカバの金色の葉が散り始めた秋、南の国へと元気に飛び立っていくのです。
寒い土地ならではの四季の美しさが味わえます。小さい存在の木や鳥が守られる幸せを感じるラストで、ほかの小鳥の巣を荒らしたカラスや女の子の大事な裁縫袋を盗んだカササギが、住処を追われるのは仕方ないと納得できます。      (F)