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満点レシピ 新総高校食物調理科

 

満点レシピ: 新総高校食物調理科 (新潮文庫)

満点レシピ: 新総高校食物調理科 (新潮文庫)

  • 作者:須藤 靖貴
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/04/27
  • メディア: 文庫
 

新居山総合技術高校食物調理科、通称ショクチョウは調理師免許がとれる専門課程。学年に1クラスで3年間担任も生徒も持ち上がり。米崎恵志の所属する3年7組には「30-0」(サーティー・ラブ)というルールがあり、物事を決めるときは30人全員一致。どんなささいなことでも徹底的に議論して30-0にする。それは、完璧が求められる調理において100点満点を目指すプライドの現れでもある。でも、恵志は3年になっても失敗が多く担任の小梅先生に怒られてばかりだ。輪切りきゅうりは基準に満たず学食に提供できないので持ち帰り、100人分のお重を用意する集団調理では発注ミスで材料が足りず時間切れ。1人の失敗が班、クラス全体の責任になってしまう。ある日、絶対に休まない小梅先生が体調不良で1週間も休んだ。恵志たちはショクチョウらしいお見舞いを贈ろうと「小”梅”レシピ集」をつくる。小梅先生に珍しくほめられた恵志は保護者試食会にオリジナルの企画を提案し、そして奇跡を起こす!
小梅レシピ集のきっかけとなるのは薬膳料理の考え方で、甘い辛い酸っぱいなどの味覚が喜怒哀楽のバランスを整えてくれるというもの。”怒”を沈めるには酸味がいいそうです。個人的には、恵志が家庭科の教員免許を取ってショクチョウで教えたい、ダメな生徒の面倒を見てやりたいと決意するラストに熱くなりました。ちょうど私も教員免許取得を目指し勉強している時だったので。
実在の高校がモデルとなった『3年7組食物調理科』を改題し文庫化。挿絵がアニメっぽくて今の子に手に取りやすいでしょうか。      (は)