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サム、風をつかまえる おめでたこぶた その2

 

2014年1月24日に紹介している「おめでたこぶた」シリーズ2巻目。4匹のこぶたトム、ビル、アン、サムと親代わりのアナグマ、ブロックさんの暮らしをつづる6話を収める。
末っ子サムのやんちゃぶりが楽しい「こぶたのサムのズボン」と表題作では、つぎはぎだらけのズボンの代わりにアンが新調してくれたズボンは、サムが自分で集めたカラウスウリやブルーベリーで染めた毛糸を使い、赤と青の格子模様が自慢。ある日そのズボンが洗濯ひもから飛ばされてしまい、荒々しい風はズボンを追いかけるサムまで空中に吹き上げる。ほかに、二千年の眠りから覚めた龍をサムがフィドル(ヴァイオリンの先祖)を弾いて眠らせる「龍」、サムがアイルランド人のおじさん3人を手伝って「干し草つくり」をする話、そのお礼にもらったかごから現れたレプラコーン(アイルランドの妖精)とブロックさんの魔法対決「靴つくりの妖精」、サムの舟を使って油断させ密漁するキツネをカワウソに頼んで川に沈めてもらう「こぶたのサムと舟」。
始めの2話はサムの元気な言動と挿絵の雰囲気があっているが、龍やレプラコーンとなると少し違和感。空想の生き物だけれども必ずいる(いた)と大人も信じ、暮らしの中に共にあったり恐れたりという存在感の強さがほしいです。   (は)