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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

千両みかん

 

千両みかん (柳家小三治監修 本格らくごえほんセット)
 

江戸の大店に仕える番頭さん。病に伏せる若旦那から「みかんが食べたい」と頼まれ、真夏の暑い盛りにみかんを探して江戸中を尋ねまわる。ようやくたどり着いたみかん問屋の蔵に、たった1つ色形香り申し分のないみかんがあった!しかし、その値を千両と言われ!!気落ちして戻り旦那に話すと、せがれの命を思えば「安い」ものというので、大事に持ちかえり若旦那の元へ。震える手でみかんをむくと房が10袋。1袋100両だ。若旦那はおいしそうに7袋を食べ、残り3袋を父、母、そしておまえにと言う。そして300両分のみかんを手にした番頭は、ふと来し方行く末に思いをはせ、そのまま姿を消してしまうのだった。
各巻特定の噺家が監修するシリーズ。落語を聞いたことがあれば話している声やリズムを想像できますが、それでも会話で始まる冒頭や場面転換の説明がないので、だれのセリフなのか文字ではわかりにくいです。たとえば、川端誠さんの落語絵本シリーズ『はつてんじん』は父と子のやりとりに一貫している話なので、こまわりの絵でテンポよく楽しめます。   (P)