児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

なぜ僕らは働くのか

 

 中2のハヤトを主人公にしたマンガと、イラスト豊富な解説ページで構成。ハヤトは私立中学に進んだものの不登校となり、母親の田舎にある中学校へ転校。母親の妹である優ねえちゃんがフリーで本のデザイナーをしており、製作中の本をハヤトにすすめる。それが、仕事や働くことについて子ども向けに解説している本書、という設定。ハヤトは、仕事とは?、働くことと生きること、やりたい仕事の見つけ方、幸せな働き方、仕事の変化(AI、多様性、人生100年時代)・・・といったテーマを読み、また職場体験などを通して働く大人の思いにも触れていく。そして本が完成してみると、実は執筆していたのは単身赴任中の父親で、あとがきに息子を応援するメッセージがつづられていたというラストです。
対象を、高学年から仕事に悩む大人たちにもと広くしたために、盛りこみすぎの感。中盤からは特に、働き始めて壁にぶつかったときに読んでほしいという思いが色濃く。子ども向けには、池上彰さんのまえがきや各章末にある働く人の声や思いを知ることがいいと思うのですが、すでに岩波ジュニア新書などにありますね。働き方は生き方だということ、だから悩む、だから自分らしくということを子どもが受け取ってくれるといいなと思います。  (は)