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竜の巣

 

竜の巣 (ポプラポケット文庫 (033-1))

竜の巣 (ポプラポケット文庫 (033-1))

 

 直人と研人がおじいちゃんと一緒に、おじいちゃんの家に向かって電車に乗っていると、山の頂上近くにぽっかりかかっている雲がみえました。するとおじいちゃんは、あれは竜の巣かもしれないと言って、自分が子どもだったころ、偶然裏山で竜の巣に迷い込んだ話をきかせてくれます。ここで、不思議なリアリティのある富安さん独特のファンタジーの世界に一気に連れていかれます。おじいちゃんを助けてくれる竜の召使にされていたカエル人間たちや、数字が数えられないどこかまぬけな竜、かしこいコオロギの助け、そして最後の竜を倒す魔法の呪文と納得できるその効果まで固唾をのんでページをめくってしまいます。読み終わったら、直人と研人のように竜の巣を探しに行こうと決心してしまうことまちがいなし。