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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

おちばのほん

 

「おやっ はるなのに おちば?」「だれのおちば?」と始まる。落ち葉は秋だけじゃないの?!というつかみにぐっと引きこまれる。

まず、春から秋に新しい葉の成長にともない古い葉を落とすクスノキユズリハなど常緑樹の葉を紹介。秋の紅葉がすすむ順に、山から町中の樹木へとならべていく。そして落ち葉は、雨や雪、虫のはたらきによってやがて腐り大地の土になる・・・というところまでが”第1部”。落ち葉の絵が色鮮やかに美しいし、文章もはずむように楽しいので、ぜひよみきかせてあげてほしい。 欲をいえば、落ち葉のスケッチが、虫くいやちぎれ、色づき具合など採取した葉の”個性”をそのまま描いているので、実際に拾った落ち葉から木の名前を見分けるには、木の形や高さなどからもわかるようなイラストがあるとよかった。
”第2部”にあたるページでは、葉が落ちるわけや色づくしくみ、落ち葉を使ったあそびや腐葉土の作り方を、写真も交えて説明する。巻末は、本文で登場する「落ち葉」の樹木解説。「解説に出てくる用語」をイラストとふりがな付きで冒頭に示したうえで、各樹木の解説文はふりがななしの専門用語なので、一般向けの樹木図鑑として。
幼児から高学年、大人までそれぞれに楽しめる1冊。 (は)