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立ちどまらない少女たち <少女マンガ>的想像力のゆくえ

 

キャンディ・キャンディ」の著作権裁判で、原作者と漫画家が共に「あしながおじさん」「赤毛のアン」などのアメリカ等の児童文学を自分のオリジナリティを生み出した源泉として語っているのを聞いて、実は英米児童文学は少女漫画に大きな影響を与えていて、少女漫画の中で、外国はどのように描かれているのかをそれらとの関係で探ろうとした研究書。引用される初期の少女漫画は1960年代からのものもあるので、若い読者だと元の作品がわからないかも! 幸い70年代位からは読んでいるものが多かったので、イメージがつかみやすかった。漫画を扱っているといっても、きちんと論文として書かれているので、気楽に読み流せる本ではないが、その分、一つ一つの論考に説得力があった。最初は遠い国として、次は手が届くあこがれの国として、そして明暗を備えたリアルな国となっていく外国。ここではないどこかを求める思いと、女の子の自己肯定の欲求。いかにも、の少女漫画の中に、自分を認め、自立していきたいという思いがやはり含まれていることに考えさせられた。