児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

五次元世界のぼうけん

 

五次元世界のぼうけん (アメリカ編) (国際児童文学賞全集)

五次元世界のぼうけん (アメリカ編) (国際児童文学賞全集)

 

原書は1962年観光のニューベリー受賞作。現在の目で見るとアラがめだつけど、当時としては画期的な作品だったのではないかと思う。主人公メグは、女の子だけど不細工で反抗的。しかも、そのメグの反抗的な精神が最終的に悪に打ち克つ!というのだから。さて、物語。メグの両親は科学者だが、父親は一年前から音信不通になっている。メグは、数学は優秀だが文学はダメで反抗的なので学校の問題児だ。弟チャールズも口をきかないため知能が遅れていると周りから思われていたが、実は、突然完全な文法で話し出すような天才児だ、この二人に、近所のカルビンというやはり変わり者の男の子が加わって、近所に現れた謎の3人の夫人にサポートされ、父親の救出のために宇宙に向かう。たどりついた星カマゾッツは、独裁者が支配する全体主義の国。この独裁者にメグが対抗して父を、ついで一時虜になった弟を救う。現代の作品だったら、SFではなくファンタジーとしてまとめたのではないかと思う感じで、宇宙を飛び回るわりには、その星の大気大丈夫? 特有の細菌とかは? など今のSFだったら押さえそうなことがないので、そもそもファンタジーっぽい。それにしても、当時のヒロインの中では、かなり異質と思われるメグを描けたのは、作者が女性だったからかも。女の子だって、理系で気が強いのはいるんだから、もっとこういう子に活躍してほしい。