児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

宝さがしの子どもたち

 

バスタブル家は、母親が亡くなって父親と6人の子どもたちに、女中さんが1人。お父さんは仕事に忙しい。子どもたちは、家の財産を取り戻そうと相談し、6人それぞれのアイディアを試みていく。宝が埋まっていないかと庭を掘ったり、新聞をつくって売ったり。山賊になってみたら襲った相手は隣の子だったり・・・まではかわいいが、「週2ポンド、かんたんにもうけられます」という怪しい商売に手を出したり、子どもだけで留守番している夜に泥棒が入ったりには、ハラハラする。

詩作が得意なノエルが、出版社へ売りこもうと出かける汽車の中で、そうとは知らず相席した女性が著名な詩人で、ノエルの詩と事情を聞いて励ましてもらうなど、出会う大人たちが、子どもの真剣さと未熟さを応援しているところがいい。最後は、裕福なおじの屋敷へ引っ越すハッピーエンド。
きょうだいの2番目のオズワルドが書いた物語という設定で、それを「最後までかくしておくつもりです。~ぜったいにわからないと思います」といいながら読者には早々にわかってしまうなど、散りばめられたユーモアが楽しい。 (は)