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星の町騒動記

 

中学2年の磯部ワタルは文化伝承部(略して「文伝部」)の部員だ。町の特産品黒曜石をメインにした「星のかけらミュージアム」の一室を部室がわりに使い、たまにここの手伝いをしている。ところが町に伝わる"大神様”が現れたというので大騒ぎが持ち上がる。町の二つの神社の内、下の宮にあらわれた”大神様”は、ワタルからすればただの野良犬にしか見えないのに、マスコミが取り上げ、下の宮の宮司は舞い上がり、商店街はオオカミサマグッズであふれかえる。友人の塩多とつるんで、表面的には無難に過ごす学校生活だが、学校に来られない岬、ワタルが抱え込んで配れないでいる昨年度の学年文集、なにかがあることがうっすらと察せられる。上の宮の宮司だというのに家出をして行方不明の父。町の職員で、博物館担当、勝気な御子貝さんにひきづられるように巻き込まれる大神様騒ぎ。正直、全体的には設定が戯画化的と思うのだが、ワタルの抱えるイライラ感に共感を感じる子は多いのではないだろうか、その意味では、ちょっと読んでみるのも良いと思う。