貧しい農場の子ヨハンの家で、ただ1頭のめうしが死にました。ヨハンは神様をうらみました。すぐ近くのベックフルトさんの農場には20頭あまりの牛がいて、みんな元気だというのに。こんな不公平があっていいのでしょうか。
そのベックフルトさんは、町のクリスマス市でゆかいにお酒を飲み、買ったばかりのこうしを馬そりに乗せて帰るところ。馬の走るにまかせるうち眠りこんでしまったベックフルトさんは、ふと何かのなき声に目が覚め、荷台のこうしを悪魔と思いこみ、そりから放り出しました。
少しして、よわよわしく鳴くこうしを見つけたのは、通りの雪かきをしていたヨハン。きっと神様のおくりものだ!ヨハンはこうしを連れて帰ります。察しのついたお父さんは、ヨハンを連れてベックフルト農場へ行き事情を話しました。でも、涙ぐむヨハンに気づいたベックフルトさん。こうしをなくしたことを人に知られたら何を言われるかとも考え・・・。こうしはそのままヨハンのものになったのでした。 (は)