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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

10代の憲法な毎日

 

高校生が、学校や家庭、社会生活の中での悩みや問題、疑問を、弁護士の伊藤真さんに相談しながら、憲法子どもの権利条約民法などに定められる、権利や自由の考え方を学んでいく。会話の文章ですすんでいくのが親しみやすい。

なんでも「伊藤先生に相談してみよう」となるので、さすがに、門限やおこづかいの金額については個人と個人の問題だから親子で話し合ってみた方がいい、となっていましたが。でも、このくらいしつこく、憲法や権利条約に照らして考えてみよう、と意識づけされることが必要かもしれません。

子どもにも当たり前に認められる権利や自由があると知るのはもちろん、そもそも「憲法は国家権力を制限する」もの、私たちの自由や権利が守られるために、というところを、おとなだって正しく認識できているかどうか。

長く家庭文庫を開かれた真壁伍郎さんも、『こどもとしょかん』最新号*でおっしゃっています。「憲法があるから私たちが守られ、平和を保障されているのではなく、私たちがそれをよく学び、その思いを自らの思いにしてこそ、よい国と社会が生まれる」、のです。 (は)

*「新潟の本棚から 第27回」『こどもとしょかん』第177号 2023春号 東京子ども図書館、p21