児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

「けんぽう」のおはなし

 

井上ひさしさんが、易しい言葉で語りかけます。

自分らしく生きること、自分の幸せは自分で決めること。多数決にも間違いは起こるから1人ひとりの話に耳を傾けて話し合うことが大切。それは国と国の間でも同じで絶対に戦争をしてはいけないこと。日本は二度と戦争をしない、話し合いで解決する、と決めて「憲法」をつくったこと。

憲法は、大きなちからをもつ国や政府が守る「きまり」で、総理大臣や国会議員が「えらい人」なのではなく、「わたしたちの『かわりの人』」。だから、その人たちの仕事をしっかり見て正さないといけないことも伝えます。

みんなはどうして日本に住んでるの?という最初の問いかけで、はたと考えさせ、ほかの国に住む自由もあるなかで、1人ひとりを大切にする憲法をもつ日本を自分が選んでいるんだよという結びは、憲法に対して受け身でいられない意識を目覚めさせます。

小学生へ向けて実際に行われた講演をもとに、没後、出版されました。 (は)