児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

魔女だったかもしれないわたし(2023課題図書小学校高学年)

 

アディことアデラインには自閉的な傾向がある。光や音に過敏。そして、なにかに夢中になるとのめりこんでしまう。今年のマーフィ先生との相性は最悪で、先生はきちんと字が書けないアディを知能が劣っていると決めつけ、特殊学級に追い出したくてたまらない。図書館のアリソン先生は、アディの特性をよく理解していて、アディが好きなタイプの本を探して薦めてくれるし、尊重してくれるのが救いだ。頼りにしているのは姉のピーディ。ピーディも自閉的な傾向があるので、アディの状況がよくわかり、うまく説明できないことを代わりに説明してくれるからだ。ピーディのふたごで、もう一人の姉のニナはおしゃれが大好きで、ユーチューバーをやっている。ある日、クラスで郷土史の見学に行ったアディは、地元で魔女狩りで殺された何人もの女性がいたことを知る。もちろん、魔女だったわけではない、他の人と違って不愛想だったり、左利きだったりというちょっとした違いがあったことが排斥された原因だった。他の人とは違う反応をしてしまう自分も、この時代に生まれたら魔女にされたかもしれない。アディは、彼女達を忘れないために記念碑を作りたいと動き始めるが、そん負の歴史に興味を示すものなどいない。生きにくさをかかえながら、どうすれば良いかをもさくするアディ。「違う」こ存在を排除するのではなく、理解して受け入れるとはどういうことなのか? 家族や姉たちとの関係。嫌がらせをする先生や友人の背景まで、多角的に描いているのが魅力。