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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

宇宙においでよ!

 

日本人として4人目の宇宙飛行士となった野口聡一さんが、2005年初宇宙旅行での唯一無二の感動体験を伝える。宇宙飛行士になるまでの半生をつづった後半と合わせて、読者の子どもたちの将来に「宇宙」という視点をもってほしい、誰にでもその可能性は開かれている、「宇宙においでよ!」とメッセージを送る。

宇宙飛行士試験への合格、そこから実際に宇宙へ行くまでの9年におよぶ長い道のり(訓練や打ち上げ条件のタイミング)は、”誰にでも”というわけにはいかないが、乗り物好きだった子ども時代や、宇宙での食事やトイレ事情、遊びなどの解説に、”人”を感じて親しみがわくし、添えられるイラストも楽しい。

水が貴重な宇宙でのエコ生活、人体への影響の研究が病気の治療に生かせる可能性、紛争国の指導者たちに宇宙から地球を眺めながら話し合ってもらったら、など、現代人類が抱える問題への提言もさりげなく。

ウクライナ侵攻をつづけるロシアは、宇宙飛行をけん引してきた国でもあります。

一方、日本では今年、14年ぶりに宇宙飛行士候補が選ばれ、日本人が月面に降り立つ可能性が期待されています。15年前の刊行ですが、あらためて子どもたちに紹介するとよさそう。 (は)