内蒙古の烏拉特(ウラト)に住む、漢族に伝わる七夕伝説です。
2人の子どもをおいて天へ帰ってしまったおりひめを追い、天にのぼった牛飼いは、おりひめの父親である王と技くらべをします。
ところが、おりひめが、こっそり渡したなつめの実とお箸、かんざしのうち、牛飼いはかんざしの使い方をまちがえ、おりひめと自分とを隔てる大きな川を出現させてしまったため、2人は1年に1度だけ7月7日に、かささぎがかける橋をわたって会うことになったのです。
おりひめが授ける3つの物のほか、白い鳩の姿の天女たち、追いつ追われつの王との競争が、たっぷりとした昔話の雰囲気。最後の、おりひめにしかられる牛飼いのやりとりは、いくらか教訓的。
挿絵は丸木俊。にじませた墨の輪郭線に鮮やかな彩色です。 (は)