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戦争が町にやってくる

 

ウクライナの絵本作家、アーティスト(共に1984年生まれ)による2015年の作品。

ロンドの町に暮らすなかよし3人。ダーンカは、電球のように体が光り、草花や木の世話が得意。宝探し犬のファビヤンは、探し物をかぎつける鋭い目と鼻の持ち主。そしてジールカは、紙飛行機の姿をしていて飛ぶことができる。

ある日、平穏な町に突然”戦争”がやってきた。町は光を失くし、花は歌うのをやめ、何もかもが闇に包まれた。ダーンカたちは力を合わせて”戦争”をとめようと、話しあいを試みたり、石を投げつけてみたり。しかし、心も心臓も持たない”戦争”には、すべて無駄・・・。

その後、ダーンカが1本の花に光と歌を与えたことをきっかけに、町中の人々がそれぞれの得意なことで協力し、”戦争”を打ち負かします。町には赤いヒナゲシが咲きほこり、人々は悲しい記憶を胸に持ちつつ暮らし続けています。

2022年2月24日のロシアによるウクライナ軍事侵攻以来、戦争は一瞬にして平和な日常を奪う一方、たやすく止められないことを突きつけられている私たちですが。 (は)