1945年の沖縄。国民学校2年のぼくは、みんなから「なちぶー」(沖縄の言葉で”泣き虫”)と呼ばれている。おとうも中学生のにいにいも軍隊に入り、残されたのはアンマー(お母さん)と妹のきぬ子。
3月の終わり、アメリカの軍艦が海岸に迫ってきた。空からも海からも攻撃され、次々と倒れる人々。ようやく逃げこんだガマ(洞窟)では、大声で泣く赤ん坊を日本兵が殺した。ぼくたちはガマを出で、再び逃げまどう。そんな中、とうとうアンマーが撃たれて・・・。
激しい地上戦の最中、アメリカ兵に助けられたぼくは、捕虜収容所へ。戦争が終わり、きぬ子と再会。アメリカに占領され、せっかく作った畑も米軍基地にされてしまったけれど、ぼくはもう泣かないし、戦争の苦しみを絶対にわすれない。
大阪で空襲経験のある著者が、沖縄に通って体験者の話を聞き、制作。ひめゆり学徒隊や鉄血勤皇隊など説明的な展開だが、史実を伝える大切さ。 (は)