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花仙人 中国の昔話

 

昔、長楽村という小さな村に、秋先(しゅうせん)という老人がいました。秋先は”花ぐるい”と呼ばれるほどの花好きで、また世話も上手なので、庭はそれは見事な花園でした。

ある日、ならず者の張委とその手下たちが乱暴に庭に入りこみ、酒もりの末、花々をめちゃめちゃにして帰っていきます。ひどい有様に秋先が嘆いていると、ふいに美しい娘があらわれ、またたく間に美しい花園に戻して、いなくなりました。

この不思議な出来事を知った張委は、秋先のことを謀反をたくらむ妖術使いとして皇帝に報告し、秋先は捕えられてしまいます。

今度こそ邪魔されずに酒を飲もうと、秋先の庭へやってきた張委たちでしたが、花の仙女たちの起こした嵐に巻きこまれ、命を落とします。

秋先の疑いは晴れ、ある年の8月15日、舞い降りてきた五色の雲にのった秋先は、天にのぼり花仙人となったのです。

あとがきには、幼いころにこの昔話を読み、中国の「空気」に親しみを抱いた松岡享子さんの、平和への願いがつづられています。この度、東京子ども図書館と福音館書店の共同企画で復刊。 (は)