児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

きみは、ぼうけんか

 

幼い兄妹が2人、戦禍のわが家を出て、無事に日本へ逃れるまでを、妹の語りで描く。

「ぼうけんかになりたくない?」とおにいちゃんに言われたわたしは、銃撃で窓ガラスや家具をめちゃめちゃにされた家を出た。

ぼうけんかは、ウマよりも速く走り、アリみたいに行列してひたすら歩き続けなきゃならない。お腹がすいてもガマン、雨や風の中も進む。

海をわたってようやくたどり着いた”ぼうけんかの町”は、鉄条網に囲われ、テントが立ち並ぶ難民キャンプ。そこには子どもがたくさんいて、一緒になって遊ぶことができた。

そしていま、わたしは日本の学校で、「きみはぼうけんか」という本をつくっている。

イランの作家とイラストレーター。作家の6歳の娘に戦争を伝えるために創作され、「その悲しみや辛さが子どもたちの心の負担にならない形にした」かったという。

しかし、妹は3、4歳、兄だって8、9歳くらいかと見え、なぜ両親や身近なおとながいないのか、行列しているたくさんのおとなたちは、この幼いきょうだいに関わらなかったのか、難民キャンプから日本へ渡った経緯は?

わからないことが多いのは、不安な気持ちにさせられました。 (は)