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行く手、はるかなれど~グスタフ・ヴァーサ物語

 

日本では知られていないスエーデンの英雄の若き日をテーマとした物語。1397年カルマ同盟によりデンマーク王を中心としてスウェーデンノルウェーがまとまるが、デンマークスウェーデンに圧政をひき、スウェーデン内は≪独立派≫と≪同盟派≫に割れ、≪独立派≫が台頭すると戦争となる事態がつ続いていた。1513年の戦い後の休戦協定で名門一族の息子グスタフは人質としてデンマークに送られた。だが、現地でスゥエーデン蔑視の現実を知ったグスタフはそこを脱出。新王クリスチャンⅡ世の危険を知らせるが、理解されない。そして新王の即位式に招かれたスゥエーデン貴族はまとめて処刑されてしまった。グスタフも多額の懸賞金で追われる身となる。だが、この非道を知らせながら懸命に抵抗軍を組織しようと地方をめぐった。かつての学友を訪ねるが、たびたび裏切りにもあう。戦争に疲れ果てたために、屈辱的でも平和を選びたいものもいる。だが、デンマーク王の非道を前についに農民たちはグスタフを支えて立ち上がる決心をする! さいごにこの2年半後、スゥエーデンが独立しグスタフが即位することが語られて終わる。堂々たる英雄譚、でもふと思った、デンマークではこの事件をどう歴史に残しているのだろう?