『ふしぎなたいこ』『おそばのくきはなぜあかい』という石井桃子が再話した昔話について、元の話や、どういう点に留意して再話したのか、また、実際語った時の子どもの反応をまとめた本。実際に語った時の子どもの反応についてまで言及されているものは少ないので、面白かった。特に、石井が子どもに実際に語りながら再話して、具体的に目に見えるような描写(鼻が長くなっていく様子を徐々に伸びていく場面をきちんと描写)に、子どもが反応していくと呼応しているところは、さすがと感じた。大人ではなく、子どもの視点を忘れなかった石井の再話の姿勢は、編集者としての経験とも関係していた(子どもに喜ばれる本を編集した)ように思う。