児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

レジェンド 葛西紀明選手と下川ジャンプ少年団ものがたり 2015 課題図書 小学校高学年

 

 読みやすく、感想文が書きやすそうな本。努力家の男の子と、身を粉にして働く献身的な母親。貧乏な中でも、ジャンプへの情熱を持ち、ついにオリンピック出場を手にする。だが、そこに襲う妹の病。母が火事に巻き込まれたための大けがと死、本人のけが、読んでいると思わず涙は、間違いなく、親が読ませたい本№1・・・という感じ。それだけに、逆に「それだけじゃないんじゃないの?」と感じてしまう。母親が懸命に働いているのにどうやら昼間から酒を飲んでいたらしい父の存在をあいまいにぼかして描いていたり、本人ももっと迷いや悩みがあったと思うのに、整えられすぎている気がする。レジェンドとよばれるほどオリンピックに出て記録を伸ばし続ける努力は半端ない。それをともかく常に走っていた・・・位でいいの? もう一歩、生身の葛西紀明に出会える本にしてほしかった。