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ゴースト

 

ゴースト (Sunnyside Books)

ゴースト (Sunnyside Books)

 

 キャッスルはスラムで母ちゃんと二人で暮らしている。父ちゃんは二人に鉄砲をぶっ放して服役中だ。父ちゃんが鉄砲をぶっ放した日。二人は食料品屋のチャールズさんの店に逃げ込み、チャールズさんは幽霊でも見たみたいにビックリした。それからキャッスルは自分の事を「ゴースト」と呼んでいる。ゴーストは、ある日競技場で走っている一団を見かける。エラそうに走っているけど自分の方が速い! ついコート外で一緒に走り僅差だけど勝ってやった。とたんに監督がやってきた。なにも習っていないけど速い、というゴーストを自分のチームに勧誘してきた。だけどゴーストは別に興味がない。バスケがやりたいのだ。走れればバスケに役立つと説得され、母親も学校で問題を起こしたら辞めさせるという条件で説得されてしまった。なのに翌日、さっそくトラブルを起こした。ゴーストがスラムから来ていることをネタに嫌味をいうブランドンにキレて殴りつけてしまったのだ。母ちゃんを呼ばれたくないばかりに、おじさんだといって監督を読んでしまう。さらに、まともな靴欲しさに万引きまでしてしまった。自分でも何をやっているかわからない! だが、徐々にチームのメンバーもそれぞれ悩みを抱えながら頑張っていることに気付いていく。そしてオリンピックで金メダルをとったという監督が、自分と同じスラム出身で、その父親はヤク欲しさに金メダルを売り払い、それで得た金で買った薬物の過剰摂取で死んだという過去があることも。トラブルを抱えながら、少しづつ成長していくゴーストのようすがテンポよく描かれていて読んでいて気持ちいい。ゴーストの母親も、一所懸命ながら看護師になる勉強をついさぼっうようなところがだからこそ魅力的。問題を抱えたゴーストを見守ってくれるチャールズさんや校長先生、気持ちの良いクラスメートなどが、物語を生き生きと見せてくれる。