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妖怪一家九十九さん

 

妖怪一家 九十九さん

妖怪一家 九十九さん

 

 現代のエンターテイメント

概要

化野原団地の地下十二階には、妖怪の一家が住んでいる。

団地が開発されるに際し、先住妖怪との共生を目指す、市役所の地域共生課のはからいで住居を提供されたのである。

カッパやカラス天狗などは、それぞれ別に住居を提供されたのだが、行き所のなかった、ぬらりひょん(この人が妖怪たちの世話役でいわばおとうさん)、ろくろっくび(ママ)、一つ目小僧、さとり、あまのじゃく(こどもたち)、やまんば(おばあちゃん)、見越し入道(おじいちゃん)は、部屋を提供されたというわけ。妖怪たちは初めて見るテレビに夢中になったりしながら、結構楽しく暮らしている。あるときは夜の散歩の途中でどろぼうを発見。市役所はお礼にパーティーを開いてくれ、ぬらりひょんは、地域共生課の職員に採用される。

感想

まことに軽妙なエンターテイメント。実のところストーリーはないに等しく、この設定と細部のみで楽しませてくれるわけなのだが、そのへんの作りがバランスよく、楽しめる。市役所をたらい回しにされて、でも最後にたどりつく地域共生課という部署の、いかにもありそうな、なさそうな、役所っぽい感じなど、実にリアル。

こういうものもライトノベルといっていいのかもしれない。

ストーリーがないので、当然、続きが欲しくなる。続編が出たのもむべなるかな。