- 作者: ロニーショッター,中村悦子,Roni Schotter,千葉茂樹
- 出版社/メーカー: あすなろ書房
- 発売日: 2004/11
- メディア: 単行本
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1850年代アメリカ。南部と北部の分裂を避けるため、カリフォルニア州の州への格上げと引き換えに、逃亡奴隷法が制定されたアメリカ。北部の自由州に逃げ込んだ奴隷は、所有者に引き渡されることになる。自由の地は、カナダとなり、カナダに奴隷を逃がす地下鉄道が組織された。そんな時代が背景(ちなみに、これは、あとがきで得られた知識。奴隷を逃がす地下組織のことは漠然としっていたが、私は初めて詳細をしりました)。夜、家の中のただならぬ様子に、目をさました、アマンダ。実は両親は、逃亡奴隷をかくまう地下鉄道の駅長をしていた。追ってきた警官をごまかすためにとっさにアマンダは自分がねぼけて騒いだ演技をし、警官はひきあげてくれた。。同じ年頃の逃亡奴隷の少女ハンナと仲良くなるが、家族がバラバラに売られる、字を学ぼうとすると罰せられるという奴隷の日常を知ってショックを受ける。ハンナに少しでも字を教えようとし、外に出るなと言われているのに、こっそり外に出てハンナを危険にさらしてしまったアマンダ。なんとかのがれるも、すぐにハンナの家族を出発させなければならない。ハンナは、秘密の道を抜け、家族を助ける手伝いをする・・・。これを読んで気づくのは警官のミーカーだ。はたしてミーカーじゃ、アマンダの演技に騙されたのか? 2度目の危機をすくっているのもミーカーであり、内心、逮捕に動きたくはないが、悪法でも法にしばられた警官として動いていることを感じた。これを子どもたちがわかってくれるといいと思う。
余談だが、昨日はイースター。イエスが十字架にかけられる途中、ゴルゴダの丘に向かう途中で倒れたイエスに代わり、通りすがりの田舎から祭り見物に出てきたシモンさんが十字架を押し付けられるというエピソードがある。ちょっと前に、教会学校でおはなしの当番にあたっていて、1週間くらい、このエピソードと向かい合っていたのだが、ひょっとして連行していた兵士だって、たいしたことしてないこのイエスを十字架にかけるなんて気が重いなぁ~って感じていたかも、と思った。重い十字架を代わりに背負わす人間を見つけてやるって意外にスペシャルサービスかもとか。
世に罪は消えないようだけど、いちおうアメリカの奴隷制は消えた。さまざまな規制の下でも、すこしでもマシなことをしたいと、願う思いは、意外にあるんじゃないでしょうか。