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夜の鳥

 

 

夜の鳥

夜の鳥

 
主人公ヨアキムは、仕事にいけず何かに傷ついてしまったパパとママと三人で住んでいる。気持ちが混乱すると家からふらっといなくなってしまうパパに、ヨアキムなりに不安を感じている。
アパートの住人の少女サーラと、悪いことをしている年上の少年たちトミーとローゲル。ヨアキムの周りは一歩家を出るとなかなか厳しい世界だ。
不安定な自分と何処かにている、無口な少女マイブリット。ヨアキムは、彼女に好意を抱いているものの、なかなか話すことはできないでいた。ある日ローゲルたちに強制され万引きをさせられたヨアキムは、盗むものをマイブリットのためにハンカチに決めた。しかし、店員に見つかってしまい…
 
夜に暴れる鳥は、ヨアキムの漠然とした恐怖の象徴として存在する。安全で善良な家庭内と、サバイバルな学校や外の世界。しかし、その安全なはずの家族の家も不安定になると、ヨアキムの夜の鳥は暴れ出すのだ。
ヘッセのデミアンのような子供の世界のシビアさを見るようだった。いつまでも、親に守られた卵の殻の中にいるわけにはいかないし、殻の外にある悪意に触れる日は避けられないのだろう。
物語でちょっとわからないのは、ヨアキムが学校で先生をママとうっかり言ってしまい、笑いものになってしまったが、いつもいじめてくる同級生がヨアキムをその事で笑わなかったくだりはちょっとわからなかった。ぼちぼち、わからない感情の部分が出てきて、若干不燃焼な気持ちになってしまった。続編早く読まなくては…