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シンドバッドの冒険

 

シンドバッドの冒険 (大型絵本)

シンドバッドの冒険 (大型絵本)

 

千一夜物語」(アラビアン・ナイト)の「船乗りシンドバッドの冒険」に語られる7回の冒険のうち1回目と2回目をまとめた絵本。全訳を読むのは難しい子どもでも楽しめる。
冒頭に、シェヘラザードという娘が王様に千一夜にわたって語ったという千一夜物語の発端があり、それから金持ちの商人シンドバッドが同じ名前の貧しい荷かつぎ男に、命がけの冒険譚を語り始める。
商人たちの船に乗りバグダッドを出て最初に上陸した美しい島が、実はクジラの背中だった。大海に振り落とされ波に漂ううちたどり着いた島は、山のように大きな卵を抱くロク鳥の島。その巨大な鳥の足にターバンで体をくくりつけて脱出するも、鳥が降り立ったところは大蛇がうようよしている谷。大蛇たちが守っていたのはまぶしく輝くダイヤモンドだった。ダイヤモンド商人たちは、崖から生肉を投げ落としてダイヤモンドをめりこませ、巨大な鳥がその生肉をダイヤモンドごと持ち出すのを狙っていた。その企みに気づいたシンドバッドは、大きなダイヤモンドを抱えて生肉にしがみつき大蛇の谷を無事に脱出。商人たちにダイヤモンドを譲って船に乗せてもらうと帰国の途へ・・・となるはずが冒険はまだまだ続く、また明日お聞かせしましょう、というところで終わる。
ギルガメシュ王ものがたり』3部作があるルドミラ・ゼーマンによる挿絵は、ペルシャじゅうたんを思わせる額縁が劇的な雰囲気を盛り上げ、その美しさは本人の言葉どおり「手触り」まで感じる。