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円周率の謎を追う 江戸の天才数学者関孝和の挑戦(2017 中学生向き 課題図書)

 

円周率の謎を追う 江戸の天才数学者・関孝和の挑戦

円周率の謎を追う 江戸の天才数学者・関孝和の挑戦

 

関孝和和算。という言葉は知っていてもそもそも和算ってなあに? 数学に国境があるの? とよく考えるとわからない。そもそも関孝和の生涯は、公式記録(いつ生まれて、結婚して、何の業務をしたか?)しかわからないので、この物語の孝和のキャラは創造のようだ。物語化したのは中学生の親しみを誘うため? 数学の先生に当たる柴村氏の娘香奈へのあこがれがでてくるが、この初恋は実らない。この香奈は、一貫して算術に興味をもったキャラとして描かれているので、どうせ創作なら、いっそ彼女を主役にして作品つくってくれればおもしろかったのに、とも思った。数学はただの趣味(結果的に、その能力の一部は業務にも役に立ったが)、という関は、オタクだったかも。武道や論語は苦手、つまり運動も勉強もイマイチだけどゲームならバッチリ的なキャラ。ゲームに夢中になって成績が下がるならゲームとりあげるよ、とさんざん叱られているが、ラッキーなことに一芸入試で頭角を現す。と解釈すれば、感想文は書きやすいかも。円周率を機械的に使うのではなく、どういう根拠で円周率が求めることができるか、を追求した関の偉大さはわかるが、関の業績を理解するのは「西洋の誰々よりも早かった」でまとめることだろうか? 早くないとしても、独自に何かを考え詰めることが重要に思える。また、関を理解するには彼がみつけた和算の理解が必要であると思う。傍書方は方程式に置き換えて納得しやすいが、加速法はわからないんですが、せめて注をつけてほしかった。中学生にはわからなくていいのかもしれないけど、数学少年ならせまってみたいのでは? とまぁ、文系の子にはややとっつきにくいけど、伝記であるかのようなタイトルは親心をくすぐるので、借りられそうな気はする。

ちなみにさっそくリクエストが入っていますが、リクエストしているのは、ほぼおじさんです。 キイワードは、円周率?