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戦場のコックたち

 

戦場のコックたち

戦場のコックたち

 

 第2次世界大戦に参戦したアメリカの青年キッド。食べることが好きで料理も好きな彼は、軍務を行いつつコックの仕事を担当することを志願する。いわば、学校で、勉強しつつ給食当番を行うようなものだ。それにはエドの存在が大きかった。いつも落ち着いていてちゃんとした料理を作る。なのに味音痴でレシピどうりにしか作れないというエドに料理好きを見込まれてスカウトされたのだ。パラシュート部隊としての軍務をこなしながら料理をする彼ら。パラシュートを集める兵、消えた糧食など、小さな謎ときが、壮絶な戦闘の中で描かれる。エドとキッどが、いわばホームズとワトソンとなるのだが、仲間が死に、あるいは負傷するという戦場の姿も、もう一つの主人公といえる。アメリカ参戦以降もどんなに戦いが大変だったかの一端が垣間見えて、ちょっとイメージが変わりました。エピローグも、それぞれが、必死に生きた戦後を見せてくれるようで、佳作です。