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ウィッシュガール

 

ウィッシュガール (金原瑞人選オールタイム・ベストYA)

ウィッシュガール (金原瑞人選オールタイム・ベストYA)

 

 13歳直前のピーターは、家族で山の中に引っ越してきた。家族は姉と赤ん坊の弟。父親は失業中だがミュージシャンを目指している。引っ越しの理由は、ピーターに何かがあったらしいことが推察される。偶然見つけた静かな谷で、ピーターはアニーと出会う。自分は、なんでも望みをかなえてもらえるウィッシュガールだといい、みごとなスケッチを描く。この子って、と思うと、そう癌と言う展開。両親が期待する強くてしっかりした子にはなれないと感じるピーターと、治療によって思考や運動能力が奪われるリスクに恐怖しているアニー。二人を常に守る谷の自然の神秘的な描写と、谷の持ち主の変わり者の老女エンプソンさん。そして狩りを楽しむ、暴力的な2人の男の子。そこそこおもしろいのだが、うまくいっていないピーターと家族の問題が、突然最後に解決するのはどう? 逃亡して重傷をおってしまったアニー、それでよかったの? と、なんだか落ち着かないものを感じる。親のけんかは子どもにはつらい問題だが、ピーターの両親、特に母親が必死なのは明らかに事実。ピーターから母親に全く歩み寄らずに、母親を責めてるのは、正直どうよ~と思いました。