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夜の庭師

 

夜の庭師 (創元推理文庫)

夜の庭師 (創元推理文庫)

 

ディズニーが映画化を予定しているというが、どうなるか目に浮かぶような物語。アイルランド飢饉でイギリスに流れてきた姉弟、航海の途中で両親は二人を助けながらも亡くなったが、それを弟に秘密にしている姉。どこにも働き口がない中で、やっと見つけた奉公先は、途中で名前を言うだけで皆が顔をそむける。だが、語り部だという老婆ヘスターが行先を教えてくれた。たどり着いた陰気な屋敷には巨木がからみついていた。青白い主人夫婦とぶくぶく太ってお菓子を食べ散らかしている意地悪な兄と、わがままだが根は素直で甘えん坊な妹の4人家族。夫人は二人を追い返そうとするが、行き場のない姉のモリー14歳は、居場所を手に入れるために、必死で頼み込んだ。だが、家は陰気で、夜になると家族は悪夢にうなされる。ふと気づくと歩き回る人影が見え、証拠の泥の足跡が残る。とまぁ、ゴシックロマンたっぷりです。願望をかなえくれるが生気を吸い取る巨木というイメージは、あるといえばあるけど、せっかくだから、求めれば求めるほどなかなかもらえない感じに設定しても(それっぽい描写はあるが、もっと明確に)してもいいかも。ちなみに、若干心配なのは、この後、巨木を退治したし保険金で家が建つといっているけど、借金の取り立て人の死体が焼け跡にあるよなぁ~とか、取立人の後ろには、本当の債権者がいるはずだと思うけど、返済どうする?とか、お父さん仕事あるのか?とか、貧乏な暮らしで最終的に4人がんばれるか? とか、ちょっと突っ込んでみたいです。