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おおかみのこがはしってきて

 

おおかみのこがはしってきて (北の大地の物語)

おおかみのこがはしってきて (北の大地の物語)

 

 アイヌの早口言葉を元にした絵本で、父親と子どものやりとりで進む。
うさぎを追って氷の上を走ってきたおおかみがつるんと転ぶ。それを見ていた子どもは聞く。「ねえ どうしてころんだの?」「それはね こおりがえらいからだよ」と父親。すると「でも こおりはとけちゃうよ。ねえ どうして」と子ども。「それはね おひさまがえらいからだよ。」お日さまよりも雲、雲よりも風・・・と続いていき、一番えらいのは命が生まれそして還っていく「土」なのだとおしえる。アイヌが考える自然界の循環と畏敬の念が幼い子にもわかりやすく伝わる。
最後に父親が氷の上で転んでしまうオチはない方がよかったなあと思います。