児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

もりのかくれんぼう

 

もりのかくれんぼう (日本の絵本)

もりのかくれんぼう (日本の絵本)

 

けいこは公園で遊んだ帰り道、先に走って行ってしまったおにいちゃんを追いかけて金色の葉に染まった大きな森に迷いこみます。心細さを消すように大声で歌いながら進んでいくと、誰かの歌声が返ってきました。姿を見せたのは森と同じ金色の男の子”もりのかくれんぼう”。かくれんぼが大好きなけいこは、森の動物たちも一緒にかくれんぼ遊びを始めます。
安野光雅の「もりのえほん」を物語仕立てにしたような、よくできた隠し絵が楽しめます。ところで、エッツの「もりのなか」では迎えに来るのはお父さんですが、この絵本では高学年くらいのおにいちゃん。ふと、この年でもう”かくれんぼう”が見えなくなってしまったんだなあという寂しさを、最後の場面(同じ形の団地が立ち並ぶ当時の日本)と共に感じてしまいました。    (ふ)