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トラベッド

 

 ヒロには、1才になったばかりの妹アイちゃんがます。だからお母さんやお父さんに甘えるのをいつも我慢しています。でもある日友だちとけんかして帰ってきた勢いで、アイちゃんのベッドにいたずら書きをしてやりました。大きな口をあけたこわいトラ。「アイちゃんなんて、たべられちゃえっ」。その夜ヒロが眠れずにいると、アイちゃんのベッドの方から「ウォーッ」とうなり声が聞こえてきました。行ってみるとそこにはヒロの描いた落書きのトラが。眠っているアイちゃんを背中に乗せてのっしのっしと歩き回っています。「おれはトラベッドさまだ」。ヒロはアイちゃんを助けなければと、とっさにお母さんの言っていた眠くなるおまじないを唱えながら、トラのおしりをたたきました。すると、トラは足もとふらふら、とろーんとなって、元のベッドに戻りました。そしてヒロもアイちゃんのベッドにもぐりこんで眠ったのでした。
上の子の葛藤する気持ちを納得よく収めてくれる。スズキコージのトラは迫力大ですが、大きな背中の毛並みがふかふかと気持ちよさそうでもあります。   (は)