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みどりの小鳥

 

みどりの小鳥――イタリア民話選 (岩波少年文庫)

みどりの小鳥――イタリア民話選 (岩波少年文庫)

 

カルヴィーノによるイタリアのグリム童話集とされる『イタリア民話集』200篇から選んだ34篇を「小さな子どものための話」「女の子のための話」「恐ろしい話」「おかしな話」「少し悲しい話」「りこう者が勝つ話」の6章に分けて紹介。
表題作は、王さまとの結婚で2人の姉にねたまれる妹が、産んだ子ども3人を川に捨てられてしまう。子どもたちは船頭夫婦にてられ苦労と冒険の末、みどりの小鳥など3つの宝物を手に入れて母親王妃を救う。アラビアンナイトの「ものいう鳥」と似ています。「あひるの一族」は、「おおかみと七ひきの子やぎ」と「三びきの子ぶた」を合わせたような話。鉄の家に住んできつねをとことんやりこめるあひるのお母さんが勇ましい。「恐ろしい話」の章はどれも本当に恐い話で、「狼おじさん」はグリムの赤ずきんに少し似ているが狼の方が家にきて本当に女の子を食べてしまう!長く子宝に恵まれなかった女王の産んだローズマリーがスペインの若い王と結婚する「ローズマリーの娘」や、美女と野獣の物語「美しい娘ベッリンダと化物」などロマンチックな話や、「りこう者が勝つ話」の章では昔話らしい豪傑が活躍する話と、1冊でさまざまに楽しめる。 (は)