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お話とともに育つ喜び おはなし通信

 

お話とともに育つ喜び おはなし通信

お話とともに育つ喜び おはなし通信

 

 下澤いづみさんは1942年生まれ。名古屋を中心に複数のストーリーテリングの会で活動し、語り手養成の講師も務める。2005年5月から毎月12年間にわたり150号まで発行した「おはなし通信」が1冊の本ににまとめられた。
通信につづられる文章からは、「耳からの読書」で子どもと本をつなぐという一貫した信念、語りを聴き合い子どもにどう届いているか話し合える仲間の大切さ、「ストーリーテリング」という言葉を用いてその意義や特徴を現場に伝える努力が伝わってくる。おはなし会を行っている保育園が民間委託されることになった際「ストーリーテリングは続けてほしい」と保護者に言わしめたのはすごいことです。

下澤さんは、絵本や紙芝居、人形劇など「見えるものの助けを借りずに」ストーリーテリング1つに絞っておはなし会を行うと決めています。それは、読み聞かせとストーリーテリングはそれぞれ違う取り組み方が必要で自分に両方はできないと考えたのと、何より言葉だけで物語を楽しむ子どもの力や大らかさを信じているからです。

1つのおはなしに対する深い読みこみや、朗読とおはなしの違い、仲間にうまくアドバイスするには・・・など、はっきり言葉にはできないと言いつつも自身の体験に基づいた説明はわかりやすく、語り手の様々な疑問や悩みをすきっと解消してくれます。

絵本の選び方や子どもの反応に悩む読み聞かせボランティアの方にもおすすめ。目次の気になる項目からページをめくってみてください。 (P)