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なぜあらそうの?

 

なぜあらそうの?

なぜあらそうの?

 

 字のない絵本。1匹のカエルが野原で1輪の花を愛でていると、ネズミがやってきて突然その花を奪った。カエルは仲間を呼んでそのネズミを追い払い、辺り一帯の花を独占して喜ぶ。ネズミは今度は、古靴でつくった戦車でやってきてカエルたちを攻撃する。それに対抗しカエルたちは・・・と、お互いの攻撃がどんどんエスカレートして、最後は焼け野原に1匹ずつ残ったカエルとネズミの複雑な表情。戦いの最中はどちらもにっこり微笑むような表情で進軍していくさまが怖い。小さな花の取り合いという理不尽なきっかけが大きな争いになってしまう展開が、子どもにというより大人や権力者へのメッセージというべきか?1938年生まれの作者は、幼い頃ロシアで戦争を体験した。  (は)