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わたしのスカート(月刊たくさんのふしぎ2004年11月号・第236号)

安井清子:文・写真 西山晶:絵 発行:福音館書店 2004年11月1日

 

ラオスの北部にある山間の村。モン族の女の子マイが、自分のための民族衣装のスカートを作る過程を、人々の暮らしや衣装にまつわる昔話をおりこみながら紹介する。
4月に麻の種をまき6~8月の夏休みは子どもたちも一緒に畑仕事。育った茎の皮をはいで糸によります。糸は煮ると白くなり、それを布に織りあげます。

モンのスカートの特徴は、細かい刺しゅうを施した部分とロウで描く模様を染めた布。そのため、腰の部分の白い布と合わせて、必要な長さの3倍の布を織らなければなりません。刺しゅうはマイが自分でします。モンの女性は代々こうして伝統を受け継いできたのです。ミツロウの原料である蜂の巣をとってくるのは父親の仕事。石灰石から石灰をとり、伝統の模様を藍染めにします。

出来上がった布を縫い合わせ、細かいプリーツを施すとスカートはようやく完成。村の女の子たちは新しいスカートを身につけてお正月を迎えます。
モン族の子どもたちによる刺しゅうの挿絵で、昔話絵本「かたつむりとさる」「サルとトラ」があります。再話者の弟と妹も手がけたとのこと。刺しゅうをする男の子もいるのですね。  (は)