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エカシの森と子馬のポンコ(2021年課題図書 小学校高学年)

 

エカシの森と子馬のポンコ (teens’ best selection)

エカシの森と子馬のポンコ (teens’ best selection)

 

 誕生年より計算すると、著者は87歳! 高齢だから物語が書けないということはないし、高齢だから名作とも言えないので、できるだけ客観的に評価したいと思うのですが、正直、私には理解不能でした。全体的にイメージで描かれている感じで、場面や背景が具体的に浮かびません。一応まとめてみると、北海道の乳牛牧場で生まれたポンコは、自由になりたくて牧場を飛び出し、ガガイモのタネやハリニレの大木エカシカメムシなどと交流して成長していくというお話し。でもこれいつの時代? 車とかあるし現代と思われるけれど、全体に昭和っぽい。ポンコはなぜ乳牛牧場で飼われていたの? ポンコのお母さんは、ポンコの出産のときに死んだらしい、なら牧場の人が人工栄養で苦労して育てたと思われるけどそれらしいこは書かれていない。現実に、子馬が群れも親もなくて、北海道の大自然の中で暮らせるの? ポンコ発情が始まっているっぽいけど、自由を求めてというより発情してうろついてるだけ? そしてアイヌの歴史がはさまれるけど、そこも深く展開しない。というわけでリアルな感じがしない。木や虫と交流するなら、鹿との交流があっても(種も近いし)あってもよさそうなのに、鹿は登場しても背景のよう。全体がとりとめないので、これで感想文を描くとしたら、イメージにのせて描く(例えば、北海道の広い大地の中の一本のハルニレに、ポンコは導かれていきます。私もこの大きな木のイメージを心に浮かべれば、まっすぐに進んでいけそうな気がしました、みたいな具体性が少ない感想)しかないかも。イメージ力のある方は、もっと別な感想が持てるのかもしれませんが私には無理です。