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物語のものがたり

 

 児童文学に関連する文章をまとめたものだが、前半を占める「『秘密の花園』ノート」は圧巻。『秘密の花園』の一つの読み方を提示しているがとても説得力がある。特に、物語の最後、メアリの存在感がコリンにスライドしてしまう部分など、気になっていたのだが、二人を同一の存在とすれば、確かに自然な展開だと納得した。後半は短い文章だが、「不思議の国のアリス」にまつわる文章「うかつには読めない」が妙なおかしみがあって楽しかった。さすが創作者は優れた読み手。