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墓場の少年 ノーボディ・オーエンズの奇妙な生活

 

 カーネギー賞ニューベリー賞のダブル受賞ということで期待して読んだが、正直想定の範囲内という作品だった。日本では一般書として角川文庫で出版されている。謎の暗殺者”ジャック”が一家を襲った日、たまたまその家の男の子はよちよち歩きでベッドを抜け出し、暗殺者が開けたドアから出て、近くの墓地に迷い込む。赤ん坊をかわいく思った幽霊たちは、追ってきた暗殺者の気をそらして追い払い、以降ノーボディ(だれでもない)と名付た。そこで育てられるが幽霊でも人間でもないサイラスが後見人となり食料など必要なものの調達してくれる。謎の襲撃者から守るため、ノーボディことボットは墓地で成長していくという幽霊版『ジャングル・ブック』! 死者たちに教育され、処刑された魔女の幽霊と友だちになるが、人間の友人だって欲しい。気配を消す術を覚えて学校に通い始めるが、いじめられている子を見過ごせず、つい行動を起こしてしまい、危機に陥る。
果たして謎の暗殺者はなぜボッドの家族をねらったのか? という謎の種明かしにあまり新味がないのだ残念だったが、特殊な生い立ちをするボットと、彼の友だちが欲しい、世界を知りたいという思いは良く描かれていて面白かった。