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きみのいた森で

 

 おじいちゃんが亡くなった直後に、スチューイは、近くに引っ越してきた同い年のエリーと出会う。誕生日が同じだとわかり、独特の世界の見方をするエリーに惹かれ、二人は仲良くなる。だが、エリーの親はスチューイと遊ぶのを禁じた。なんと二人のひいおじいちゃん同士が激しく対立し、同時に森の中で同時に行方不明になったという過去があったのだ。二人は、森の中の倒木でできたテントのような場所で遊ぶ。そこには平たい石があって、時々不思議な声が聞こえるきがするのだが、ある日、スチューイの目の前でエリーは突然消えてしまう。消えたというスチューイの言い分は誰にも相手にされず、誘拐事件として大騒ぎが起きる。ところがあの場所でスチューイはエリーと再会する。エリーは消えたのはスチューイの方で、スチューイの母親は半狂乱になっているという。なんとか互いを捕まえようとする試みはうまくいかない。そして世界が二つに割れてしまったことには何か理由があるのではないかとスチューイは考える。曽祖父時代の対立と、祖父の秘密。森の中を歩く怪しげなキノコ男。いったいこれは? と先が見えない展開が魅力。2019年エドガー・アラン・ポー賞を受賞というのも納得という作品だが、著者本人はミステリーだとは思っていないとか、きちんとした論理のあるファンタジー? SF? 単純に言えないところがまたおもしろい作品。