冒頭、東日本大震災は「1000年に1度」の「大事件」だったとある。〇〇年に1度の、という聞き慣れてしまったこの文言が、読み進むうちに根拠ある意識に変わっていった。
著者は火山学、地球科学、科学教育が専門。地震の起こるしくみと、そこから引き起こされる人間にとっての災害を、順序よく積み上げて解説してくれます。とても納得したのは、科学的データに基づいた「地震予知」と根拠ない「予言」のちがい。「何年何月何日」に大地震発生、というピンポイントな予言はもちろん嘘だとわかる。でも、年月日までは予想できなくても、過去と最近の地震活動の観測データからはじき出された「2030年代に南海地震が起こる」しかも「超巨大」クラスという予測は、かぎりなくピンポイントであること。「非常に貴重な『虎の子』の情報」をぜひ活用してほしい、という著者の訴えを、いつ起こるかわからないしと聞き流してはいけない。いつ起こってもいいように備えること。備えあれば「被害の8割は減らすことができる」そうなので! (は)