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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

SDGs時代の国際協力 アジアで共に学校をつくる(岩波ジュニア新書)

 

2015年にSDGsが国連で採択されるより以前の1990年1月に発足したACEF(バングラデシュ寺子屋を贈ろう/アジアの庶民代に積極的に取り組む青年を育成する、という二つの目的を掲げた組織)の活動している組織についての本。それをSDGsの考え方からもとらえなおしているが、SDGsを前提としてどうあるべきかという視点ではないので注意したい。実は読んでいて最初「小学校」というのは、当然公立の小学校という先入観で読んでいて、後半になってやっと公立学校に通えない子どものための学校(小さな村や、子どもたちが家の手伝いをした後で通える柔軟な時間設定)のことで、公立学校とは別だと気が付いた。私のように一瞬誤解してしまう子はいそうな気がした。当然、国も学校を作っているので、それとの区別について、最初に対比して書いてあると納得しやすかったかもと思った。また、バングラデシュのこの活動を見ることで、自国についても振り返ったり、共働を考えるためのスタディーツアー。この魅力についての参加者の感想についても、具体的なエピソードで書いてあるものが良かった(貧しい家なのに、お土産をくれようとして、断り切れずに受け取ったが、車の運転手に、こうした貧困地区のものは消毒するように言われ、悲しくなった)が、「貧しくても目がキラキラした子どもたちの姿」のような抽象的なものはやはり、決まり文句のようで受け止めづらかった。バングラデシュの実情や国際貢献について理解するヒントになると思うが、もうちょっと概論より各論的な方がイメージしやすい気もする。