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嵐のティピー

 

ティピーとは、アメリカ先住民のテント式の住居。
ある日、息子の初めての狩りに出かけた族長父子は、ブリザード(雪あらし)に遭い、仕とめたバッファローの下にもぐって寒さと風をしのぐ。ふと眠ってしまった族長は、夢の中で巨大なティピーの中へまねかれ、ひとりの老人と面会する。その老人は、ブリザードの主。春になったらおまえのティピーに、このティピーと同じ印、緑の目をもつ赤いバッファローを描き、馬のたてがみをつるすようにと告げられる。そうすれば永遠に嵐から守られ部族は豊かになるであろうと。そしてお告げのとおりに、部族は守られたくさんの馬に恵まれ、族長のティピーは嵐のティピーと呼ばれるようになったのだ。

人間に最初にティピーを教えた、神の助手ナピの予言が、物語の額縁になっている。精霊を身近に感じる部族の暮らしを描く挿絵は、細密な美しさと不思議な世界観。ティピーの詳細な図解や写真、模型をつくれる型紙もあり興味深い。 (は)